超臨界流体について

化学の勉強の延長で調べてみました。

名前がごっついですが、
コーヒーや茶葉のカフェインの抽出、ドライクリーニングなどに
応用されている身近な技術なんですよ。

●超臨界流体
図を見るのが一番分かりやすいでしょう。これです。

日本分光さんHPより

物質の温度を高めたり圧力を上げ、気体になってもドンドンそれを続けると、
図のように、臨界点を超えたところで液体と気体の区別がつかない状態に
なります。これが超臨界流体です。

何故このような状態になるのでしょうか?

液体の温度を上げ続けると、体積は膨張するため密度は下がっていきますね。
気体の温度を上げ続けると、どんどん蒸発するため密度は上がっていきます。

この物質が外に出ていけない状態だったとすると?

どこかで2つの状態の物質の密度が非常に近接するポイントが出てくることが予想できます。

それが臨界点であり、気体と液体の区別の出来ない超臨界流体が存在するところです。

とまぁ頑張って説明してみましたが、
普通の状態では起こりえないので、イメージがつきにくいですよね。

超臨界流体の状態については、こちらの動画で不思議な世界が見れます。

●超臨界流体の特徴
なんとなーく超臨界流体がどんなものか分かってきました。
その特徴はと言うと、
液体のように分子の密度が高い
気体のように分子の相互作用が弱くさらさらしている

それぞれ言い換えると、
分子の密度が高い
=分子の数が多い
=その分子で溶質を囲むことができる

分子の相互作用が低い
=溶かされた溶質がばらばらにできる

これが、wikipediaの超臨界流体の定義にある
気体の拡散性と、液体の溶解性を持つ」と言うことです。

さらに、超臨界流体の圧力と密度の関係を
縦が密度、横が圧力の折れ線グラフで表すと、
臨界状態では線がほぼ横になっています。
(グラフはこちらを参照)

つまり、
圧力を少し変えただけで密度を大きく変化させることができるのです。

と言うことは、
圧力変化のみで大きな溶解度差を得ることができる

と言うことです。

これが何に良いのか? と言うと、
化学実験でも、溶解度の差を利用して溶質を析出すると言う手法が使われますね。

それと同じように、
この超臨界流体も分離や抽出に便利と言うことです。

●超臨界流体の応用分野
上記性質を活かして色んな分野への応用が広がっているようです。
カフェイン抽出なんかが有名どころですね。

<例>
・表面処理

https://www.jstage.jst.go.jp/article/sfj/61/8/61_8_556/_pdf
・香料抽出
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jos1956/35/4/35_4_254/_pdf

● 超臨界流体クロマトグラフィー
分離や抽出と言えば、化学分析装置への応用が気になります。

こちらの 記事によると、
Agilent社が昨年夏に日本市場向けに超臨界流体クロマト製品を提供することを明らかにしたようですね。
こちらにその製品である「Agilent 1260 Ininity II SFC」の紹介動画があります。

前後に登場するボクサーは謎ですが笑、
コピーに「スポーツでもサイエンスでも鍵は集中力です。」
とあるので、そのことを表現しているんですかね。

もちろん、島津製作所さんもWaters社にも超臨界流体クロマトグラフィー装置の
ラインナップはありますよ。

話がそれましたが、超臨界流体をクロマトで使用すると言う点において、
何が良いのかについて簡単に書いておこうと思います。

クロマトグラフィの基本については省きますね。

●超臨界流体の利点
前述したように超臨界流体の特徴として、
「拡散性の高さ」「分子の相互作用の弱さ」がありました。

拡散しやすい、且つ、流体中の分子の相互作用が弱い=粘性が低い

という状態では、超臨界流体を移動相とすることで、
カラム内にドンドン分析種を運んで行ってくれるわけです。

超臨界流体は、粘性が低いので流速が上がるし、
拡散性が高いので、スピード速くしても問題なくカラムと反応する、

と言うことで
クロマトグラフィの移動相としては”超理想的“なわけです。

一般的な液体クロマトでは、
流速が増加すると、カラムが分析種と反応する前に
流れそうめんを取りそこなったようにあ~行っちゃった~、
と流れ出て行ってしまうんですね。

超臨界流体だと、
流速が増加しても、拡散性も高いため、
超臨界流体が溶質をドンドン、カラムのところまで届けて行ってくれるわけです。

Agilent社の資料によると、
———————————————–
Over the last 20 years SFC has been proven to be superior to normal phase HPLC
for the separation of enantiomers and other isomers.
In fact, many larger pharmaceutical companies have focused on SFC
for these applications. <中略>
In 96 % of the separations, SFC was found superior,in terms of speed and resolution.
———————————————–
と言うことなので、「医薬品領域における光学異性体の分離」
かなり重宝されているようですね。

● 超臨界流体クロマトグラフィーの短所
こちらは検索してもあまり出てこないんですよね。

何とか探して出てきたのが、
極性が高い物質には、超臨界二酸化炭素を移動相として用いることができない

と言うもの。
※超臨界二酸化炭素は安く、無害なので多くの場合において移動相として用いられます

どうしてか? と言うと、
二酸化炭素は無極性分子ですので(図参照)、極性物質は二酸化酸素に溶解しないためですね。
これは超臨界状態になっても変わらないということです。


図:リンクより

でもこの欠点にも対応策があって、
超臨界二酸化炭素と一緒に有機溶媒(メタノール等)を色んな割合で混ぜて流す
という方法です。
これにより極性を変化させることができるんですね。
「グラジエント溶出法」とも言います。

なかなか良いことづくしな技術のようで、これからの更なる展開が気になりますね…
中途半端になってしまいましたが、今日はこの辺で。

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