TEPIA先端技術館

この週末は、お誘いを受けてTEPIA先端技術館に行ってきました。
最新の技術を紹介している、外苑前から徒歩数分のところにある施設です。
しかも入場料無料!

定期的に展示内容は変わるそうですが、私が訪問した時にされていた展示はこんな感じ。実際に試すことも可能です。
・非接触医療センサ
・デンソーの多軸ロボット
・物流支援ロボット(ステレオカメラと赤外線センサによって人について行ったり、無人で動いたりできる)
・顔面像脈拍計測(ヘモグロビンが緑の光を吸収する仕組みを使って脈を計測する)
・全自動イカ釣り機 など

その他にも3Dプリンタのデモ機やプログラミング体験(ドローンを飛ばせます)コーナーなどもあり、お子様がいらっしゃる方は行かれてみたら親子で楽しめるのではないかなと思いました。プログラミング体験は基本お子様用なので、やさしそうなお姉さま方がサポートしながらプログラミングを教えてくれますよ♪時間としては半日あれば十分かと思います。
個人的には3Dプリンタ教室に滅茶苦茶興味があったのですが、子供対象でしかも部屋が隔離されていたので近づいてみることも出来ず残念。

この技術館はセミコンなどの展示会のように技術のプロはいないようですが、ある程度は説明員さんが説明して下さいます。自分が今まで関心のなかった技術や分野に興味を持つきっかけ作りとしては利用価値アリかなと思いました!

さて、今日は今回個人的には一番面白そう且つ理解の出来なかった非接触医療センサについて取り上げてみたいと思います。

展示されていたのはカレアコーポレーション社の非接触センサで、
ドップラー素子を使って非接触で「脈波・呼吸・体動」を検知するセンサです。
(これだという特許を見つけられなかったので特許番号はすみませんが無しで;)

本センサの仕組みとしては、センサからマイクロ波を照射し、呼吸の動きや血液の流れに伴って異なって反射するマイクロ波を検知する、と言うもの。得られた情報を組み合わせることで、例えば心拍数の変動によってストレス具合を測る、なども可能になるようです。

マイクロ波は衣服などの遮蔽物も透過するので、服の上のようなある程度離れたところからでも計測することができます。
このマイクロ波による検知技術はすでに色んな分野で使用されており、例えば軍事分野でも、壁の後ろに敵がいないかなどを確認するために使われているそうです。

<マイクロ波の波長>


一般社団法人日本味覚協会より

センシングの基本として用いられているのが、ドップラー効果と呼ばれる現象だそうですが、どんな現象なのでしょうか。

ドップラー効果は高校物理の波の単元で出てくるものですね。

音源が移動しながら音を発するとき、進行方向に進む音は波長が短くなり、 進行方向と逆方向に進む音は波長が長くなる

と言うもの。音や光は波となって進行します。自分に向かって音源がどんどん近づいてくる場合の波の動きをイメージすると、音源が近づく毎に波長が短くなってくるのがなんとなくイメージできるかなと思います。
逆に音源が遠ざかっていく場合は、遠くにいく毎に波長は長くなります。
イメージとしてはこんな感じ。

この現象の説明に、一番よく挙げられる例が救急車のサイレンです。救急車が近づいてきた時の音の高さと遠ざかっていくときの音の高さって異なっていますよね?
近づいてくるときは高い音です。音階で言うと「シーソーシーソー」。遠ざかっていくときは少し音が低くなります。音階で言うと「ラ#ファ# ラ#ファ#」。
ドップラー効果と波の性質から
「近づいてくる音は波長が短い⇒波長が短いと言うことは高い音。」また、
「遠ざかる音は波長が長い⇒波長が長いと低い音になる。」
ですので、このような結果になるのも納得できますね。

で、同じように、身体の運動や微細な動きによる距離の変化と周波数のシフトを検知することで、身体の状態をセンシング出来る、と言うのがドップラー効果を利用した今回のセンサです。

展示されていたセンサは、1種類のセンサで最大5メートル離れたところから、以下の内容を見ているようです。
①安否確認
②離着床の検知
③睡眠・覚醒状態の把握
④トイレ・浴室内での異常時通報
⑤活動量測定など

個人的には、身体の具体的にどういう部分をセンシングしているのか、(肺の動きなのか、血管の流れを見ているのかとか)がちょっと気になるんですけどね。そこまでは知ることができませんでした。

ノイズの心配は?
さて、離れた場所から動いている身体の呼吸などの動きを知ることができる感度を持っている、と言うことは、不要なノイズを拾いやすいとも言えます。

このセンサの場合は、NHA(非調和解析Non-Harmonic Analysis)と言う、フーリエ解析より10万~100億倍の解析精度を持つ手法を採用しているため、かなり精度が高いのだそう。
フーリエ変換だと、取り出した信号を1つの単位としてそれが繰り返される波形とみなして処理がされます。人の動きなどは単純波形に直せるものではないので、つなぎ目が不連続になってしまい、誤差が生まれてしまいます。
参考:https://www.onosokki.co.jp/HP-WK/eMM_back/03_04_24add.htm

NHAの場合は、取り出した1つの単位の信号を解析し、その形に合うように合わせて描いていくため、どのような形状の波にも対応できるのだそう。
https://www.jst.go.jp/pr/jst-news/pdf/2014/2014_06_p12.pdf
ただ後者だと時間が掛かりそうですよね。

やはり上記の記事を参照すると、NHAの課題は時間が掛かることだそうですが、今回展示されていたセンサは、そこまで時間が掛かっているという印象はありませんでした。
一瞬ではありませんでしたが、1分少しで順番に計測結果が出てきていたように思います。

ちなみにこのNHAに関する特許はまだ沢山は見つけられませんでしたが、
ドップラー効果で特許を検索すると788件ありました。

分野としては、ゲーム機の音声、医療用センサ、レーダー、通信装置、ここ最近は自動運転絡みも出てきていますね。
こう言った切り口で特許を調べていくのも面白そうです。

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