cancer=癌とは限らない

今日Essentia免疫学を原書と対比して読んでいたところ、
原書側で「virus-associated cancer」の単語が、
日本語版では「ウイルス関連腫瘍」になっていることに気付きました。

cancerは「癌」と言う意味だけではないんだなということを理解するとともに、
何故この文脈では腫瘍としたのか、について考えた結果を以下まとめてみました。

まず取り上げる文章は、エイズに関する以下の一文です。
AIDSを発症した患者は、さまざまな程度の日和見感染症や、
頻度はかなり低いがウイルス関連腫瘍に苦しめられることになる。
Essential免疫学 第3版 P.394より

腫瘍に関して私の持っていた知識では、分類はこのようになっていました。

これを踏まえると、今回cancer=癌とせずに腫瘍と訳出しているのは、
AIDS患者が苦しむ腫瘍には、上皮組織由来のものだけではなく
上皮組織由来の腫瘍も含めたいと言う意図があるからではないか、
と推測しました。

がん・感染症センターの方の論文を参照すると、
http://jaids.umin.ac.jp/journal/2011/20111301/20111301013019.pdf

Human immunodefi ciency virus(HIV)感染者は悪性腫瘍に罹患しやすい
カポジ肉腫,非ホジキンリンパ腫,原発性脳リンパ腫および浸潤性子宮頚部がんが
Acquired immunodefi ciency syndrome(AIDS)指標悪性腫瘍
(AIDS defining cancer,ADC)として定義されているが,
それ以外の非AIDS指標悪性腫瘍(non-AIDS defi ning cancer,NADC)
の罹患率も高い。

と書かれていました。

やはり、HIV感染者は肉腫、リンパ腫などの癌以外の腫瘍もできることが
明らかなようです。

なので、Essential免疫学では、
cancer=癌ではなく、その他の悪性腫瘍も含めることができるように、
「virus-associated cancer=ウイルス関連腫瘍」と訳出していたんですね。

ちなみに、こちらの星ヶ丘医療センターさんのHPを参照すると、
癌ではなく「がん」とひらがな表記した場合は、
悪性腫瘍と同じ意味として使われていることが分かりました。

念のため、英語のcancerはどの意味を含むのか、を確認したところ、
National Cancer Instituteの定義によると、
A term for diseases in which abnormal cells divide without control
and can invade nearby tissues. Cancer cells can also spread to
other parts of the body through the blood and lymph systems.<略>
Carcinoma is a cancer that begins in the skin or in tissues that line
or cover internal organs.
Sarcoma is a cancer that begins in bone, cartilage, fat, muscle,
blood vessels, or other connective or supportive tissue.

とのことでしたので、
上皮、非上皮区別なく腫瘍の意味として使われているようです。

以上を踏まえて、改めてmindmap化するとこんな感じかなと思います。

ですので今回の場合は、
virus-associated cancer=ウイルス関連がん
という表記もアリなのかなと思いました。

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【参考書籍】
 

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