クロマト特許の見直し

The purpose of chromatography is to separate components in the mixture such that their identity and/or quantity can be determined.[US20070074766A1]
【公開訳】クロマトグラフィーの目的は、混合物の成分の本性及び/又は分量を求めることができるように、それらの混合物の成分を分離することである。
【私訳】 クロマトグラフィーの目的は、混合物中の成分の同定及び/又は定量できるようにその成分を分離することである。

identityの訳に結構悩みました。
公開訳は「本性」で一応化学系の辞書に「本性」とあったので自分の知らない使われ方があるのかな、と思い検索したところ「酸の本性」「化学結合の本性」「熱の本性」なんてのが見つかりました。
ただ「成分の本性」はやはり出てこないですし、違和感があります…。

化学分析の分野ではidentify=同定と言う言葉が使われます。
意味としては、以下の通りです。
・純粋に単離した目的物が何であるかを明らかにすること [岩波理化学辞典第5版]
・同一の物質であると確認する操作[よくわかる最新分析化学の基本と仕組み]

どちらかと言えば、上段の理化学辞典の意味で多くの場合は使われているように思います。
今回はidentity is determinedですが、「同定が決定された」とは言いませんので調整が必要になりますね。

念のため、identity=個性という意味があることから、成分の性質や特性は当てはまらないだろうか、とも考えました。
「クロマトによって混合物の性質を決定する」であれば意味が通る気もしますが、
theirが指しているのmixtureではなくcomponents(成分)だと思うので、「成分の性質を決定する」と訳すとクロマト装置の機能に当てはまらないですね。
クロマトグラフィは、基本的には混合物中の成分を分離してその組成などを知るための装置であって、成分の性質を調べる装置ではないはずです。
やはり同定がしっくりきます。

さて、どうするか。
同定=単離した目的物が何であるかを明らかにすること
つまりは、目的物を決定する作業です。
よって、identity is determinedを、一単語にまとめて同定としてしまってよいのではないか、と考えました。

そうするとquantityの方が浮いてしまいますが、
同定と対になって出てくる言葉に「定量」と言う言葉があります。
定量分析=試料中の成分物質の量を求めるための化学分析[岩波理化学辞典第5版]
つまり、定量=成分物質の量を求めることです。
quantityをdetermineすることと言えるでしょう。

なので、
The purpose of chromatography is to separate components in the mixture such that their identity and/or quantity can be determined.[US]
【私訳】 クロマトグラフィーの目的は、混合物中の成分の同定及び/又は定量できるようにその成分を分離することである。

と訳しても、英文と1対1で対応してはいませんが、意味は同じはずと考えました。

 

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