Th17細胞
・90年代にTh1、Th2細胞とは別のCD4+ヘルパーT細胞として発見されたもの
●他のTh細胞との違いは?
https://www.jst.go.jp/pr/announce/20110520/index.html
・Th1細胞:細胞性免疫に関与(体内の異物排除を担当)
*細胞内抗原の除去、遅延型過敏反応などの細胞性免疫反応を誘導
*Th1 cells contribute to the elimination of intracellular pathogens and are involved in cell-mediated and delayed-type hypersensitivity responses.
・Th2細胞:液性免疫に関与(抗原に対して血液中の抗体が反応する)
*アレルギー反応に関与し、また、細胞外寄生細菌などに対する免疫応答を担う
*Th2 cells are involved in allergic responses and the clearance of extracellular pathogens.
・Th17細胞:
*真菌感染に対する防御など体の正常な機能を保つ働きを持つ
*アレルギーや自己免疫疾患(関節リウマチなど)の発症に中心的な役割
*Th17 cells are required for host defense against intracellular bacterial infection and retaining normal function of the body.
*Th17 cells play a central role in the induction of the various autoimmune diseases and allergy.
★メモ
・T細胞は侵入した病原体の種類に応じて異なる機能を持つ細胞に分化することで効率よく病原体を排除している
~~細かい話~~
●RORγ(転写因子)がTh17細胞の分化に必須
TGF-β+IL-6(サイトカイン)のシグナル
⇒シグナル伝達分子であるSTAT3を活性化
⇒Th17分化に必須の転写因子であるRORγtが誘導される
⇒RORγtがTh17細胞上にIL-23受容体の発現を誘導
⇒Th17細胞の生存や機能維持に重要であるIL-23に反応できるようになる
https://www.rs.tus.ac.jp/iwakuralab/theme/il17.html
★メモ
IL-6–mediated STAT3 signalingは様々な疾患に関連している
・関節炎や腸炎等の疾患発症に関与するTh17の分化にIL-6/STAT3シグナルが重要
・STAT3の活性化は種々のがん細胞増殖にも重要
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC150972/
~~最近の研究の話~~
●Stab1による、自己免疫疾患を引き起こすT細胞発生のメカニズムを解明
・実験の結果
Th17細胞においてSatb1(遺伝子発現の制御分子)を欠損するマウスは
多発性硬化症マウスモデルで病気になりにくかった
⇒なぜか?
①
Th17細胞でのSatb1の欠損
→GM-CSF発現を高める転写因子Bhlhe40の発現上昇を回避
→病気の発症に必須のサイトカイン「GM-CSF」の産生が抑制
→炎症を軽減!
②
Th17細胞でのSatb1の欠損
→免疫チェックポイント分子「PD-1」(T細胞の細胞傷害性が低下する)
の発現が上昇
→IL-17やIL-2といったサイトカインの産生を抑制
→炎症を軽減!
https://resou.osaka-u.ac.jp/ja/research/2019/20190207_1
★今後の可能性
⇒Stab1の発現を抑える薬を作れば自己免疫疾患の治療につながるかも
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