先日取り上げた
こちらの特許US20120225056A1のBACKGROUNDの続きです。
今日の説明で、補体が集合してからどうなるかの流れが一旦完結するので、
この特許の背景を読むシリーズは終えたいと思います。
では、前回は、走化性因子の説明で終えてしまったので
続きから見ていきたいと思います。
Cleavage of C5 releases C5a, a potent anaphylatoxin and chemotactic factor,
and leads to the formation of the lytic terminal complement complex, C5b-9.
C5が切断されてC5aが放出されると、アナフィラトキシンや走化性因子が放出され、
それによって、溶解性終末補体複合体C5b~9の形成がもたらされる、
と言うことが書かれています。
このlytic=溶解性
がどういう状態のことを表しているのか、に注目してみていきたいと思います。
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溶解性の終末補体複合体とは?
まずは、イメージ図です。
wikipediaより。
いきおいよく流れてますね。
本文中の「複合体C5b~C9」と言うのは、
C5b、C6、C7、C8、C9からなる複合体のことで、
上図でいう肌色のcomplement proteinに当たるものです。
そもそも、今話をしている補体が何のために存在するか、
をおさらいすると最初に説明した通り、
「生体が病原体を排除する際に抗体および貪食細胞を補助し、
例えば、細菌の細胞膜を壊すなどして身体を守るもの」なのでした。
図の青い粒粒はcell membraneと書いてありますが、
細菌の細胞膜のことです。
補体は、これまでの流れで何度も何度も活性化していましたが、
ついには各補体が結合して細菌の細胞に穴を開けられるわけなのですね。(すごい…)
これにより、細菌の細胞の中身がどんどん出てきてぐちゃぐちゃぁ~となるので、
このことを溶解性と説明しているのだと思います。
<参考>http://square.umin.ac.jp/haramaki/yakudai/meneki/102407.pdf
このlytic terminal complement complex C5b~9(溶解性終末補体複合体C5b~9)
は、膜侵襲複合体(membrane-attack complex : MAC)と表現されていることも
多いように思います。
個人的にはこっちの名称の方がイメージがつきやすい気がしますね。
こんな感じで、特許と絡めて先日勉強した
補体、補体活性化の古典経路(Essential免疫学第3版p.37~)について
説明してみました。
また追加情報がありましたら、補足していきたいと思います。
最後に前々回紹介したのとは別の分かりやすい動画があったので紹介しておきます。
本記事で説明した内容は、5:30くらいからの動画になります。
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【今日の勉強記録】
11H+受講感想(1年の振り返りまとめ中)
・Essential 免疫学
・大学生物学の教科書「細胞生物学」
・ビデオ講座
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